「2024年問題」は、単なる残業規制にとどまらず、物流業界が長年抱えてきた構造的な課題を見直す好機と捉えられる。さらに2025年には、荷主に対する業務効率化の義務付けや、適性原価を下回る運賃契約の是正を目的とした、通称「トラック新法」が公布され、事業継続に向けた経営改革が不可欠となっている。
 実際に改革へ踏み出した企業としては、運賃体系を重量建てから車建てへと変更し、2020年比で平均10.3%に相当する運賃の引き上げを実施したキリングループロジスティクスが挙げられる。これにより、ドライバーの安定した収入確保につなげているという。また、フジトランスポートは、労働時間の短縮後も適正な給与を維持するため、必要な原資を経営努力で生み出す取り組みを進めている。
 これらに共通するのは、現場の実態をデータで捉え、改善につなげている点だ。加えて、デジタルツールを活用し、業務の属人化を解消する工夫も見られる。本資料では、2社の事例を基に業務改革のポイントを紹介する。