2024年7月、NASAは国際宇宙ステーション(ISS)において、低軌道で大規模言語モデル(LLM)を展開することに成功した。この実験を支えたのが、過酷な環境でも毎秒1兆回の計算を行って膨大な量のデータを分析し、ほぼリアルタイムの推論を実行できる性能を持つ宇宙向けスーパーコンピュータだったという。
ISSがハイパフォーマンスコピューティングの性能を必要とした理由の1つとして、収集した膨大な量のデータを旧式の通信インフラで送信しなければならないことが挙げられる。この通信インフラは、最大帯域幅が8~10Mbpsほどしかない。それを全員で共有するため、高速接続が利用できる数と時間が限られていた。そこでプロセスの所要時間を短縮するためにスーパーコンピュータが必要だったという。
今では、検査プロセスを迅速化するために、地上のクラウドコンピュータを使用して、破損部分を識別できるようにAIモデルをトレーニングし、その推論エンジンをスーパーコンピュータにアップロードするなど宇宙飛行士の生産性を向上させるための鍵として活用されている。本資料では、これらの取り組みを詳しく解説する。