ランサムウェアの被害が業界や規模を問わず深刻化し、医療機関においてもリスクが高まっている。電子カルテデータが暗号化された場合やシステム復旧に数カ月が必要となる場合には、医療の継続性に重大な影響が及んでしまう。群馬県伊勢崎市の脳神経疾患専門病院の美原記念病院では、これらの解決に向けてランサムウェア対策を目的としたバックアップシステムの構築に取り組んだ。
複数ベンダーの提案の中から採用したのが、データをイミュータブル(変更不可能)にしてバックアップするシステムだ。サーバのイメージバックアップも可能なため、サーバOSも含めた全体の保護が可能で、これまでに使用していたNASや磁気テープと比べて復旧時間を大幅に短縮できる点が決め手となった。
PoCにおいては従来なら10時間以上かかるデータ移行が5時間で終了。さらに重複排除と圧縮により、ファイルサーバにおけるデータ削減率は平均30%に及んだ。本格導入後はクラウドサービスとのシームレスな連携によりクラウドへのバックアップも実施し、3-2-1ルールに加えて早期復旧の仕組みも構築できているという。