アジア開発銀行(ADB)は一般的な銀行と異なり、貧困削減を目的として融資や技術援助を行っている組織だ。そのITインフラの停止は数百万人に影響しかねないため、ADBでは中核インフラをクラウドへ移行する計画を立ててきた。この計画は順調に進んでいたが、新型コロナウイルス感染症の大流行によって前倒しを強いられることになった。
特に問題となったのが、Microsoft Azureを利用した新データセンターの立ち上げだ。コロナ禍で完全なリモートワークを強いられることになった上、このデータセンターはADBのデジタル変革の中核を成すものであったため、何より優先する必要があった。そのためには、簡単で効果的かつ効率的なデータセンターインフラのデプロイ方法が必要だった。
そこでADBが注目したのが、オープンソースの構成自動化ツールとIaaSの併用だ。これによりIaaS内の全てのクラウドインフラのプロビジョニングを自動化できるだけでなく、セキュリティや管理を標準化することも可能となった。VMのプロビジョニング時間を3日間から2分に短縮するなど、多くの成果を得たADBに、成功の秘訣を聞いた。